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第28回 放射線技師のためのセミナー 報告
- 2016年2月27日 18:58
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今回のセミナーは、静岡県放射線技師会事務所で開催し、参加者は43名でした。
最新技術講演では、散乱線補正・除去技術について、メーカー講演を行いました。
富士フイルムメディカルのVirtualGrid(以下、VG)は、「グリッドを使用していない撮影画像と撮影条件から、散乱線量を推定して、画質を改善する画像処理」と説明がありました。撮影条件と画像データから被写体厚を自動的に推定し、コントラストと粒状性を改善した画像を作成していました。またISSやノイズ低減回路の搭載により高感度化も実現しており、被ばく低減との両立を実現しています。
コニカミノルタヘルスケアのIntelligent Grid(以下、IG)は、画像から体厚を自動推定し、その結果により散乱線含有率を推定しています。またグリッドレスの撮影画像から、推定した体厚・管電圧に応じて画素毎に散乱線含有率及び成分を推定し、減算する事でコントラストを改善しています。撮影条件の指定は管電圧のみで、シンプルな操作によって高画質を実現していました。
PHILIPS HealthcareのSkyFlow(以下、SF)では、被写体構造のモデルとモンテカルロシュミレーションに基づいて散乱X線を同定し、減算しています。コントラスト改善能はグリッド使用時とほぼ同等、被写体厚が厚いほど効果は大きく、従来撮影より最大40%の線量低減が可能との事でした。
会員発表では、使用経験を発表して頂きました。沼津市立病院の高城正行会員からは、SF使用経験の発表があり、管電圧、mAs、照射野、被写体厚をそれぞれ変化させて、SFの挙動を検討していました。SFは散乱線の量に反応し、散乱線が多い状況下にてより強く処理されているとの報告でした。同施設ではVGも稼働しており、2つのシステムでの画像の見せ方に違いがある。今後は画像処理などを更に検討し、質の高い画像にしていきたいとの事でした。
静岡市立清水病院の大瀧篤志会員からは、IGの使用経験を発表して頂きました。HCU、OPE室にてIGを使用しており、導入によって検査のスループットが向上し、アライメント不良による画質低下が無くなった。デメリットは操作が煩雑な所がある、検証するのが難しいなどが挙げられるとの感想で、臨床上は問題なく使用できており、理解度と習熟度が上がればデメリットはある程度解消できる。今後もう少し理解度を上げていきたいとの事です。
聖隷三方原病院の松田綾香会員からは、VGの使用経験を発表して頂きました。ポータブル撮影をER、病棟共にFPDへ移行し、VGを使用しているとの事でした。メリットはスループットの向上、扱いやすさ、斜入による濃度差が発生しないなどがあり、安全性の向上として患者誤認のリスク低減や、二重曝射の防止に繋がり、結果としてより良いサービスの提供ができるとの報告でした。
特別講演では、奈良県立医科大学附属病院の中前光弘先生に、「一般撮影を使いこなそう!~各社の散乱線除去処理理を中心に~」とのタイトルで御講演をして頂きました。画像処理の基礎的なお話しの後に、散乱線除去用画像処理についてお話をして頂き、各社の散乱線除去処理には傾向があり、それぞれの特徴を解明する必要がある。一般撮影の使いこなし術は、画像処理の原理を知る事、画像処理は万能では無い事を知る事が大切であるとの事でした。様々な実験結果を見ながら画像処理を説明して頂いたお陰で、とても解り易く、参加者一同が画像処理に対する理解をとても深める事ができたのではないでしょうか。
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第26回 放射線技師のためのセミナー報告
- 2015年7月23日 22:48
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今回のセミナーは、静岡県放射線技師会事務所で開催し、参加者は37名でした。
「最新装置と被ばく低減技術の紹介」のセッションでは、メーカーによる製品紹介と最新技術についてプレゼンをして頂きました。株式会社島津製作所より透視装置を中心に、X線の特性から被ばく低減技術までの幅広い説明がありました。被ばく低減においては、X線の特性、装置の設計、アプリケーション、画像処理のそれぞれの観点からの取り組みについて説明がありました。中でもX線が出ていない状態でコリメーター操作ができるバーチャルコリメーターや、泌尿器対応コリメーションなど、装置の設計レベルでの被ばく低減技術が優れていました。次に、GEヘルスケア・ジャパン株式会社よりCT装置を中心に、被ばく低減技術の説明がありました。RevorutionCTでは、トレードオフの関係にある空間分解能、カバレッジ、時間分解能を融合し、それぞれの長所を生かした設計がなされていました。新開発のガーネット検出器ではデータサンプリングレートが3.6倍になり、全身領域で空間分解能が33%向上しています。またSnapshot Freezeを使うことで、最短23msecの実行時間分解能を実現、160mmのワイドカバレッジは撮影時間の短縮や被ばく線量の低減に寄与しています。次世代の逐次近似再構成であるASiR-Vでは、最大82%の被ばく低減が可能だという事でした。
会員発表では、「教育訓練」についての現状を発表して頂きました。放射線障害防止法で定められている教育訓練のみではなく、院内で行われている放射線教育全体の現状についての紹介をお願いしました。富士宮市立病院の酒井洋和会員からは、関係法令に基づく教育訓練の他に、院内研修、院外研修を行っていると発表がありました。院内研修では科内主催の勉強会を開催しており、公開勉強会も開催しているとの事でした。次に島田市民病院の畑利浩会員からの発表では、診療放射線技師、放射線科看護師、医師向けに教育訓練をおこなっているとの発表がありました。勤務の都合を考慮し、同じ内容の訓練を2~3回行うという事でしたが、参加人数があまり多くないという課題があるとの事でした。浜松医療センターの中村文俊会員からは、関係法令に基づく教育訓練の他に、新人オリエンテーションや放射線科に配属された看護師向けに教育訓練を行っているとの発表がありました。また、科内で被ばくに関する勉強会を行い、「被ばくQ&A」を作成し、被検者からの質問に答えるための資料を電子カルテ上に公開しているとの事でした。
最後に特別講演として、「日本の放射線診断における診断参考レベル(DRLs)とその目的」について、藤田保健衛生大学の鈴木昇一先生の御講演を賜りました。DRLを策定するまでの国際的な動向からその目的まで、大変解り易く御説明して頂きました。DRL使用の目的は、
●正当化されない線量が多すぎたり少なすぎたりした場合、その地域、国家の線量を改善
●より特定な医療画像診断を良質に行うためのより狭い範囲での到達の促進
●ある特定の医療画像処理プロトコルのために最適な線量範囲に到達することを促進
であり、我々診療放射線技師もその意味を十分に理解する事が必要です。また今後、医療被ばくに対する線量の最適化がさらに加速すると思われますが、診療放射線技師の真価が問われている事を再認識した御講演でした。
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第25回放射線技師のためのセミナー報告
- 2015年2月 9日 22:51
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「第23回放射線技師のためのセミナー」報告 平成26年6月28日(土)
- 2014年8月 1日 18:03
- <2>部会報告
管理士部会も新しい役員となり、初めてのセミナーを開催しました。当日は、半導体検出器の最新情報と会員による使用経験、一般撮影とCTにおける不変性試験の実際、教育講演に日本診療放射線技師会理事をお迎えして管理士資格の更新に関する方法と要点についての講演をしていただきました。(参加者26名)
メーカー講演「半導体検出器の紹介」
トーレック株式会社より、半導体検出器の基本原理とRaysafeX2の製品紹介をして頂きました。半導体検出器の特徴は、エネルギー分解能が良い、高速応答が可能、小型検出器、電池駆動可能であり、センサー後面を鉛で遮蔽することにより、後方散乱線の影響を受けないとの事でした。RaysafeX2は、センサーと本体をUSBケーブルで接続するだけで簡単に測定でき、一度の照射で複数の測定項目が表示されます。また、PCソフトウェアを使うことにより、パソコンにすべてのデータを転送でき、日常管理のデータ取りにも適しているということでした。
東洋メディック株式会社からは、半導体検出器の基本原理とRadicalの製品についての紹介をしていただきました。Radicalもエネルギーによっていくつかのセンサーが用意されており、診断領域のX線の測定が可能であるという事でした。また、マルチセンサーによる半価層の測定原理を示していただきました。半導体検出器の応用例として、CTの実行エネルギーの測定データの提示があり、エネルギースペクトルの違いによる値の違いについて説明していただきました。
会員発表では、沼津市立病院の浜崎あゆみ会員より、Unfors Xiを使用したマンモグラフィ品質管理についての発表がありました。半価層の値の信頼性の検討では、乳房撮影精度管理マニュアルに従って行った測定結果とUnfors Xiでの測定値との比較をし、良好な結果が得られたという事でした。
「ユーザーによる精度管理」
浜松医療センターの鈴木僚会員から、JIS規格をもとにした一般撮影装置の不変性試験についての発表がありました。幾何学的特性、高コントラスト解像度、X線像全域の光学的濃度変化、X線源装置からのX線出力、受像面へのX線入力を試験し、光学的濃度変化についてはデジタル値に置き換えて測定しているという事でした。
富士宮市立病院の勝間田悟会員からは、X線CT装置の精度管理についての発表がありました。QAファントムを用いた画像の評価では、コントラストスケール、高コントラスト空間分解能、低コントラスト分解能、ノイズと均一性を測定しているとの事でした。過去には平均CT値がわずかに許容範囲外であったため、メーカーによるフルキャリブレーションを行った事もあるということでした。
特別講演「管理士認定資格更新に関する方法と要点」
日本診療放射線技師会より児玉直樹理事をお迎えして、管理士資格更新について御講演をして頂きました。今年度は多くの放射線管理士、放射線機器管理士の方が更新の時期になるため、提出資料のポイントなどを具体的に教えていただきました。(提示して頂いた資料につきましては、別途掲載させて頂きます。)また、診療放射線技師の業務範囲の見直しについてでは、診療放射線技師法の改正への経緯の説明がありました。業務拡大が進む一方で我々の責任が大きくなる事、それを果たすために更なる学習に努める事の大切さを教えて頂きました。
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第22回放射線技師のためのセミナー報告
- 2014年2月24日 18:29
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第20回放射線技師のためのセミナー報告
- 2013年12月13日 18:02
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第12回 放射線技師のためのセミナー 報告
- 2010年6月26日 09:22
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平成22年6月26日 JA静岡厚生連遠州病院講堂
今回のセミナーは、JA静岡厚生連遠州病院の講堂で開催されました。雨の土曜の午後にも関わらず参加者51名と大変盛況な会となりました。
▼ 最新技術講演(1)では、テルモ㈱の楡木先生が「NSFに関する最近の話題」というテーマでガドリニウム含有造影剤とNSF(腎性全身性線維症)について講演していただきました。NSFは、皮膚の過剰な線維化により、皮膚の腫張、硬化が生じたり斑点などが現れ、様々な経過をたどり死に至ることもある疾患であり、腎機能障害者に見られる。また、ガドリニウム含有造影剤との因果関係については1997年以降報告されるようになり、各国でガドリニウム含有造影剤の使用上の注意を呼びかけるようになってきているが、ガドリニウム含有造影剤にも構造上NSF発症リスクが高いものとそうでないものがあるので造影剤の選択も重要であるとの内容でした。最新技術講演(2)では、東芝メディカルシステムズ㈱の金原先生に、東芝CT装置の最新技術について紹介していただきました。ボディパフュージョン、心筋パフュージョン等の紹介、被ばく低減策について説明していただきました。
▼ 会員講演「CT装置の更新とその使用経験」では、磐田市立総合病院の神谷会員、静岡県立静岡がんセンターの瓜倉会員、聖隷浜松病院の山下会員に講演していただきました。神谷会員は、CT装置更新にあたり、心臓CTの充実という目的を医師と技師が共有し、他施設での研修を通して準備を行い機種選定し新CT装置を導入したことを説明され、新CT装置の構造、被ばく低減も含めた機能の紹介、臨床画像等講演していただきました。瓜倉会員には、CT装置増設に至った経緯の説明と320列CTを用いた検査として、脳においては全脳CTパフュージョン、術前4D-CTAその他部位では心臓、肺(4D-CT)、肝胆膵領域(4D-CTAP)などの検査を紹介していただきました。山下会員には、初めてCTに用いられた逐次近似法を応用したノイズ低減技術(ASiR)の紹介をしていただきました。
▼ 特別講演では、藤田保健衛生大学教授 鈴木昇一先生に「CT装置の線量評価と医療被曝」というテーマで講演していただきました。CTで使用される線量評価の指標CTDI等の定義、CTDI等の表示値と実測値の違いを示すデータ、血管造影での被ばく線量とCTAでの被ばく線量の比較データなど貴重なデータを多くみせていただきました。また、最近はマンモグラフィーにおける線量測定を行っているとのことで、会場の会員に対し測定に協力してもらえる施設を募集されていました。
(管理士部会 聖隷浜松病院 片岡純也)
第12回放射線技師のためのセミナーの資料は、こちらからダウンロードできます。

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