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2015年2月 Archive

第25回放射線技師のためのセミナー報告

 今回のセミナーは、静岡県放射線技師会事務所で開催し、参加者は51名でした。  
 「FPDの最新技術」のセッションでは、メーカーによる製品紹介と最新技術についてプレゼンをして頂きました。富士フイルムメディカルでは、既存のラインナップに加え、昨年末に新発売されたCALNEO Smartの紹介がありました。同社の間接変換方式のFPDでは、ISS方式と柱状結晶の新センサーで高い描出能を実現、またCsIで高感度化を実現しており、CR比1/4の線量で同等の粒状性、鮮鋭度が得られるとの事でした。また、体動検出やVirtual Grid処理などの最新技術の紹介もありました。コニカミノルタ株式会社からはAeroDRの製品紹介と、画像形成プロセスから柱状結晶成長技術などの紹介の後、線量低減の考え方の説明がありました。同社のAeroDR(HQ)はREGIUS190(175μ読み)に対し、NEQの比較から線量を半分程度に落としても同等の粒状性が得られるとの事でした。また散乱線補正処理の紹介もあり、撮影後の元画像からの散乱線除去の方法を説明して頂きました。 
 「CRからFPD更新に伴う撮影条件について」の会員発表では、同一メーカーでの更新を行った2施設の発表がありました。
 静岡市立清水病院の大瀧会員は、自施設での実験からFPDは管電圧が高くなると感度が上がる事に着目し、旧システムからの移行時に、管電圧を上げる事と線量の適正化により50~80%の線量低減を行ったとの発表がありました。聖隷三方原病院の大橋会員からは、自施設で行った物理評価実験でDQEは、FPDがCRよりも2倍近く高い値を示した事を確認し、X線量子を2倍近く有効に利用することができるシステムであるとして、CRよりも1/2程度の線量で撮影しているとの発表がありました。
  「Exposure Index値の製品への応用」のセッションでは、PHILIPSの最新FPD「SkyPlate」の機器展示と同時に、EI値の製品への搭載状況についてプレゼンがあり、EI値が規格化されるまでの成り立ちから製品紹介、線量管理の方法まで幅広く説明して頂きました。PHILIPSの一般撮影系装置はすべてEI表示が可能であり、簡単に確認できるとの事でした。
  特別講演では、奈良県立医科大学附属病院の中前光弘先生に「ディジタル一般撮影における線量指標Exposure Index について」というタイトルで、基礎知識と臨床応用への課題について御講演をして頂きました。講演に先立ち、装置更新時の撮影条件の考え方についてアドバイスを頂きました。装置更新時には、新システムの導入前にデフォルトの撮影条件を設定する必要があり、その時点ではメーカーが公開しているDQE等のデータをある程度参考にする。大切なのは導入後に一定の期間を置いて、DQEに限らず画質全般をバランスよく再評価し、適正条件を考える事が必要なのではないかとの事でした。EI値については、 EI=c₀・g(V) で定義され、具体的にEI値の算出方法を詳しく説明して頂きました。臨床画像からのEI値の求め方も示していただき、とても勉強になりました。運用上の注意点としてはEI値の変動要因がるとの事で、被写体の違いや関心領域の設定の違いなどの影響を示して頂きました。また、EI値は検出器面への到達線量をもとに算出しており、皮膚表面線量とは違うため、被ばく管理に使う場合はその特性を理解する必要があるとの事でした。IE値の基礎から応用までとても解り易く説明して頂き、大変勉強になる講演でした。              
                                             管理士部会長 池谷 正治
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