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第26回 放射線技師のためのセミナー報告

今回のセミナーは、静岡県放射線技師会事務所で開催し、参加者は37名でした。

「最新装置と被ばく低減技術の紹介」のセッションでは、メーカーによる製品紹介と最新技術についてプレゼンをして頂きました。株式会社島津製作所より透視装置を中心に、X線の特性から被ばく低減技術までの幅広い説明がありました。被ばく低減においては、X線の特性、装置の設計、アプリケーション、画像処理のそれぞれの観点からの取り組みについて説明がありました。中でもX線が出ていない状態でコリメーター操作ができるバーチャルコリメーターや、泌尿器対応コリメーションなど、装置の設計レベルでの被ばく低減技術が優れていました。次に、GEヘルスケア・ジャパン株式会社よりCT装置を中心に、被ばく低減技術の説明がありました。RevorutionCTでは、トレードオフの関係にある空間分解能、カバレッジ、時間分解能を融合し、それぞれの長所を生かした設計がなされていました。新開発のガーネット検出器ではデータサンプリングレートが3.6倍になり、全身領域で空間分解能が33%向上しています。またSnapshot Freezeを使うことで、最短23msecの実行時間分解能を実現、160mmのワイドカバレッジは撮影時間の短縮や被ばく線量の低減に寄与しています。次世代の逐次近似再構成であるASiR-Vでは、最大82%の被ばく低減が可能だという事でした。

 会員発表では、「教育訓練」についての現状を発表して頂きました。放射線障害防止法で定められている教育訓練のみではなく、院内で行われている放射線教育全体の現状についての紹介をお願いしました。富士宮市立病院の酒井洋和会員からは、関係法令に基づく教育訓練の他に、院内研修、院外研修を行っていると発表がありました。院内研修では科内主催の勉強会を開催しており、公開勉強会も開催しているとの事でした。次に島田市民病院の畑利浩会員からの発表では、診療放射線技師、放射線科看護師、医師向けに教育訓練をおこなっているとの発表がありました。勤務の都合を考慮し、同じ内容の訓練を2~3回行うという事でしたが、参加人数があまり多くないという課題があるとの事でした。浜松医療センターの中村文俊会員からは、関係法令に基づく教育訓練の他に、新人オリエンテーションや放射線科に配属された看護師向けに教育訓練を行っているとの発表がありました。また、科内で被ばくに関する勉強会を行い、「被ばくQ&A」を作成し、被検者からの質問に答えるための資料を電子カルテ上に公開しているとの事でした。

 最後に特別講演として、「日本の放射線診断における診断参考レベル(DRLs)とその目的」について、藤田保健衛生大学の鈴木昇一先生の御講演を賜りました。DRLを策定するまでの国際的な動向からその目的まで、大変解り易く御説明して頂きました。DRL使用の目的は、

●正当化されない線量が多すぎたり少なすぎたりした場合、その地域、国家の線量を改善

●より特定な医療画像診断を良質に行うためのより狭い範囲での到達の促進

●ある特定の医療画像処理プロトコルのために最適な線量範囲に到達することを促進

であり、我々診療放射線技師もその意味を十分に理解する事が必要です。また今後、医療被ばくに対する線量の最適化がさらに加速すると思われますが、診療放射線技師の真価が問われている事を再認識した御講演でした。

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