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2016年2月 Archive

第28回 放射線技師のためのセミナー 報告

今回のセミナーは、静岡県放射線技師会事務所で開催し、参加者は43名でした。

 最新技術講演では、散乱線補正・除去技術について、メーカー講演を行いました。

富士フイルムメディカルのVirtualGrid(以下、VG)は、「グリッドを使用していない撮影画像と撮影条件から、散乱線量を推定して、画質を改善する画像処理」と説明がありました。撮影条件と画像データから被写体厚を自動的に推定し、コントラストと粒状性を改善した画像を作成していました。またISSやノイズ低減回路の搭載により高感度化も実現しており、被ばく低減との両立を実現しています。

 コニカミノルタヘルスケアのIntelligent Grid(以下、IG)は、画像から体厚を自動推定し、その結果により散乱線含有率を推定しています。またグリッドレスの撮影画像から、推定した体厚・管電圧に応じて画素毎に散乱線含有率及び成分を推定し、減算する事でコントラストを改善しています。撮影条件の指定は管電圧のみで、シンプルな操作によって高画質を実現していました。

 PHILIPS HealthcareSkyFlow(以下、SF)では、被写体構造のモデルとモンテカルロシュミレーションに基づいて散乱X線を同定し、減算しています。コントラスト改善能はグリッド使用時とほぼ同等、被写体厚が厚いほど効果は大きく、従来撮影より最大40%の線量低減が可能との事でした。

 会員発表では、使用経験を発表して頂きました。沼津市立病院の高城正行会員からは、SF使用経験の発表があり、管電圧、mAs、照射野、被写体厚をそれぞれ変化させて、SFの挙動を検討していました。SFは散乱線の量に反応し、散乱線が多い状況下にてより強く処理されているとの報告でした。同施設ではVGも稼働しており、2つのシステムでの画像の見せ方に違いがある。今後は画像処理などを更に検討し、質の高い画像にしていきたいとの事でした。

 静岡市立清水病院の大瀧篤志会員からは、IGの使用経験を発表して頂きました。HCUOPE室にてIGを使用しており、導入によって検査のスループットが向上し、アライメント不良による画質低下が無くなった。デメリットは操作が煩雑な所がある、検証するのが難しいなどが挙げられるとの感想で、臨床上は問題なく使用できており、理解度と習熟度が上がればデメリットはある程度解消できる。今後もう少し理解度を上げていきたいとの事です。

 聖隷三方原病院の松田綾香会員からは、VGの使用経験を発表して頂きました。ポータブル撮影をER、病棟共にFPDへ移行し、VGを使用しているとの事でした。メリットはスループットの向上、扱いやすさ、斜入による濃度差が発生しないなどがあり、安全性の向上として患者誤認のリスク低減や、二重曝射の防止に繋がり、結果としてより良いサービスの提供ができるとの報告でした。

 特別講演では、奈良県立医科大学附属病院の中前光弘先生に、「一般撮影を使いこなそう!~各社の散乱線除去処理理を中心に~」とのタイトルで御講演をして頂きました。画像処理の基礎的なお話しの後に、散乱線除去用画像処理についてお話をして頂き、各社の散乱線除去処理には傾向があり、それぞれの特徴を解明する必要がある。一般撮影の使いこなし術は、画像処理の原理を知る事、画像処理は万能では無い事を知る事が大切であるとの事でした。様々な実験結果を見ながら画像処理を説明して頂いたお陰で、とても解り易く、参加者一同が画像処理に対する理解をとても深める事ができたのではないでしょうか。

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