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静岡県放射線技師会 管理士部会

第32回放射線技師のためのセミナー報告

 平成29624日静岡県放射線技師会事務所にてセミナーを開催した。参加者は、54名(会員51名、非会員1名、学生2名)であった。今回のテーマは、「一般撮影のポジショニングの工夫と撮影補助具」でメーカー講演では「一般撮影の最新技術」の内容で3社から講演頂いた。


 コニカミノルタジャパンからは、AeroDROne Shot長尺システム」と新画像処理「REALISM」が紹介された。長尺システムは14×17或は17×17パネル3枚の組み合わせにより、1回曝射で撮影が可能であり、大幅にスループットが向上した。新しい結合処理により、パネル位置による拡大率の差を補正している。REALISMはダイナミックレンジ圧縮、周波数協調、ノイズ抑制を改良することで実現した新しい画像処理である。頸椎や胸腰椎撮影などに有効である。


 富士フィルムメディカルからは、Dynamic VisualizationⅡ処理を中心に講演された。画像認識技術から、人工物・骨・軟部などを認識し、最適な処理を行っている。この為以前より白とび、黒つぶれの少ない画像が得られるようになった。


大林製作所からは、長尺撮影台LL-LEADER、汎用型万能握り棒Shuttle、カセッテホルダーのSatellitePLESIOが紹介された。いずれも撮影補助具として非常に優れており、撮影を安心・安全に行えるように設計されている。SatellitePLESIOは、患者だけでなく技師の被ばく低減にも役立つと感じた。


 会員発表として3施設の会員から発表があった。各施設のポジショニングの工夫や撮影補助具の使用状況について発表された。聖隷三方原病院の中村陽子会員からは、8種類の補助具について紹介があった。膝の撮影に使用するものや、骨盤計測用の補助具はよく考えられて工夫されていると感じた。


 市立島田市民病院の鈴木邦幸会員からは、小児胸部撮影に使用する補助具について報告があった。昭和から使われているこの補助具は、丈夫でポジショニングの再現性もよく、4か月以上の乳児にも使用できるとのことだった。患児を座らせて撮影することで安全に撮影できるように工夫されていた。


 沼津市立病院の大原明会員からは、TKA術後の膝関節撮影ポジショニングの工夫について発表された。経過観察目的の撮影ではインプラントのルーズニングを観察するのには高い精度と再現性が必要であり、スタッフ全員が同じように撮影できるような資料を作成し、情報を共有しているということだった。


 特別講演では、細貝実先生が「魔法のような一般撮影補助具の開発」として、先生自身が開発に取り組んだ補助具である"すけっと"について講演された。素材としては患者にも優しく、画像への映り込みも少ない独立気泡ポリエチレンフォームが適している。また、補助具を使用した撮影方法について解説があった。再撮影の多いスカプラY撮影や膝関節の立位側面撮影などは、簡単に撮影できるコツを伝授していただいた。

32セミナー.jpg

 一般撮影の補助具でも、使い方によって誰でも簡単に精度・再現性の良い撮影ができることを学んだ講演だった。


管理士部会 根岸賢哉

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