Home > <2>部会報告 > 第42回 アンギオ部会研修会(報告)

第42回 アンギオ部会研修会(報告)

 平成26年10月18日(土曜日)に第42回 静岡県放射線技師会 アンギオ部会研修会をパルシェJR静岡駅ビルにおいて開催いたしました。今回は「頭頸部領域」に関する研修会を企画いたしました。  
 まず、メーカー講演といたしまして共催メーカーであります第一三共株式会社の佐々木達先生より「非イオン性等浸透圧造影剤 ビジパークの有用性について」というテーマで ご講演を賜りました。ヨード造影剤は血管造影や造影CTなどの画像診断において必要不可欠な体内診断薬であり、多くの医療施設において使用されています。その一方で、アナフィラキシー様症状や、造影剤腎症(contrast induced nephropathy:CIN)と呼ばれる急性の腎障害、薬剤注入時における熱感や疼痛といった副作用を引き起こす場合があることが広く知られており、臨床現場における大きな問題となっています。今講演では、等浸透圧であるビジパークと従来の低浸透圧ヨード造影剤との副作用の発現率、造影検査での有効率、ERCPにおける急性膵炎の発症率の比較検証を通して、ビジパークとういう造影剤の特性についてご説明いただきました。
 会員講演といたしまして、富士市立中央病院の井出会員より「シーメンスアンギオ装置の導入と使用経験」というテーマで、中東遠総合医療センターの中山会員より「Allura Xper Clarityの使用経験」というテーマで発表していただきました。
 シーメンスアンギオ装置の導入と使用経験のテーマでは、このたび富士市立中央病院にて新規導入されたシーメンスArtis Qと旧機器である同社Artis zee、そして新規導入の候補に挙がったもう一つの機器であるフィリップスAllura Clarityとのハード面やソフト面における性能・仕様の比較を挙げて新機器の特色をご説明いただきました。また、新機器には様々なIVR支援プログラムが充実しており、それらを実際に用いた画像症例を交えて使用経験を報告していただきました。
  Allura Xper Clarityの使用経験のテーマでは、このたび中東遠総合医療センターにて新規導入されたフィリップスAllura Xper Clarityと旧機器であるAllura Clarityとの性能・仕様の比較を挙げて新機器の特色をご説明いただきました。新機器はソフト面、ハード面において旧機器から引き継いだ部分が多く、機器変更した際に操作性で戸惑うといったことはなかったそうです。相違点として画像演算処理能の向上によってノイズや被曝線量の大幅な低減に成功していることを挙げられました。High‐Resolution Xper CT、一回のローテーションでマスク像を撮影することなく3D画像を収集することができる3D-RAなど、多彩なIVR支援プログラムを画像症例と共に報告していただきました。
 特別講演といたしまして、掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 脳神経外科統括診療部長兼脳血管内治療センター長 市橋鋭一先生より「急性脳主幹動脈閉塞に対する最近の治療の進歩」というテーマでご講演を賜りました。 
 同施設では急性期の脳梗塞患者に対してDrip,Ship and Retrieveという取り組みを行っておられ、これは近隣の脳血管内カテーテル治療が行えない施設において急性期の脳梗塞患者に対しDrip(tPAを投与)して、治療可能な施設にShip(救急搬送)し、そしてRetrieve(脳血管内カテーテル治療)を行うというものです。このときtPAを投与する意義はそれによって血栓溶解を狙うのではなく、初診から治療を開始するまでの間に血栓がそれ以上成長しないよう足止めすることにあります。tPAの投与と脳血管内カテーテル治療を組み合わせることによって治療成績を有意に上げることが可能となります。ところが近年、海外において脳血管内カテーテル治療はtPA静注のみの場合と比して治療効果に有意差はなく、医療費の無駄であるいう旨の報告(ホノルルショック)がありました。しかし、その統計には治療成績のあまり良くない初期のデバイスも含まれており、データそのものに疑問の余地があり、現在、本邦の脳血管内カテーテル治療を専門的に行える様々な施設がこのホノルルショックに立ち向かうべく、合同で臨床試験(RESCUE‐Japan Study)を行っているとのことです。
 いずれの演題も頭頸部領域のIVRに関する最新事情として大変興味深く拝聴致しました。最後に、貴重なご講演を賜りました先生方、参加して下さった会員の皆様に心より感謝申し上げます。

 アンギオ部会/山内紘作

Home > <2>部会報告 > 第42回 アンギオ部会研修会(報告)

Feeds

Return to page top