- 2013年3月18日 16:24
- <2>部会報告
平成25年2月9日(土曜日)に第40回 静岡県放射線技師会 アンギオ部会研修会を
まず、メーカー講演といたしまして共催メーカーであります第一三共株式会社の佐々木達先生より「非イオン性等浸透圧造影剤・ビジパークについて」というテーマでご講演を賜りました。ヨード造影剤は血管造影や造影CTなどの画像診断において必要不可欠な体内診断薬であり、連日、世界中の医療施設において使用される量は極めて膨大であります。その一方で、造影剤腎症(contrast induced nephropathy:CIN)と呼ばれる急性の腎障害を引き起こす場合があることが広く知られており、臨床現場における大きな問題の一つとなっています。今講演では、等浸透圧であるビジパークと従来の高浸透圧ヨード造影剤とのCINの発症率、造影検査での有効率、ERCPにおける急性膵炎の発症率の比較検証を通してビジパークとういう造影剤の特性についてご説明いただきました。
会員講演といたしまして、静岡県立総合病院の大石恵一先生より「当院の肝臓IVR-CTについての現状」というテーマで、
肝臓IVR-CTのテーマでは、肝臓IVRの検査・治療のフローを始めとして、撮影・注入プロトコル、精度管理・被爆管理、IVR-CTによるCTA及びCTAPとDynamic CTとのHCCに対する感度差、IVR-CTとCBCTの性能評価の比較検証を交えてIVR-CT使用状況の実際をご報告していただきました。IVR-CTのHCCに対する感度の高さには目を見張るものがあり、また、検査と治療をひとつのフローで行えるという利点から、今後ますます注目されるモダリティーであると実感いたしました。(詳細はこちらからご覧下さい
IVR-CT.pdf) 肝臓超音波検査のテーマでは、肝臓の超音波画像解剖、Bモード・ドップラーモードによるプローブの基本操作、造影超音波検査、肝臓エラストグラフィー、RVSについてご講演を賜りました。超音波検査は被爆もなく、ベッドサイドでも簡便にリアルタイムでの観察が行える半面、検者の依存性が高く客観性に乏しい面もあり、ともすれば新しく学ぶ医師や技師の方々にとっつきにくいといった印象を与えてしまうかも知れないモダリティーでありますが、基礎的なところから始まり、画像症例を交えた操作の実際をたいへん分かり易くご教授いただきました。
特別講演といたしまして、愛知医科大学放射線科 教授 石口恒男先生より「腹部のIVR ~最近のアンギオ装置の機能応用を含めて~」というテーマでご講演を賜りました。IVRの安全性向上を考える上で、いかに少ない被曝線量と造影剤で手技を行うかということは重要な因子であります。検出器がI.I.からFPDへ推移したことにより低パルスレートでの手技が可能となって放射線障害の予防・低減に寄与していること、CINを予防・低減する上で使用する造影剤の量をより少なくするための機能としてpeak hold image、3DロードマップやCBCT等の機能を駆使することが求められるという例を挙げられ、実際の症例に対する手技のフローを交えてご教授いただきました。アンギオ装置の機能応用によってIVRの安全性向上に努めることの重要性をあらためて認識いたしました。
いずれの演題も血管造影に従事する放射線技師にとって大変興味深く、より一層の研鑽に勤める思いを新たにいたしました。
最後に、貴重なご講演を賜りました先生方、参加して下さった会員の皆様に心より感謝いたします。
アンギオ部会/山内紘作
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